2017年に、法施行によって誕生した心理系初の国家資格「公認心理師」
この記事では公認心理師にこれから取得するか悩まれている方、公認心理師をとったけど後悔しているという方のために「公認心理師を取得する意義」について書いていきたいと思います。
資格取得の意義について考える上で、資格取得の労力とメリットを考えることは避けては通れない道だと思います。
そのため、①公認心理師を取得することでどのような仕事ができるのか ②公認心理師を取得することで経済的恩恵はあるのか ③公認心理師を取得するための労力 という3つの視点から考えていければと思います。
公認心理師は取得する意味ない資格かを考える【メリットとデメリット】
①公認心理師を取得することでどのような仕事ができるのか
どのような仕事ができるのかを考える上で、公認心理師資格の根拠法である公認心理師法を参考にするとわかりやすいです。公認心理師は「公認心理師法」によって、”保健医療、福祉、教育その他の分野において〜”と活躍する分野が規定されています。

ここでいうその他の分野は、主に司法や産業分野とされています。これら5分野で心理的な助言/相談などを行うのが公認心理師です。
これらの業務を公認心理師以外はできないというわけではありませんが、公認心理師の認知度が上がるにつれて、これらの業務のほとんどは公認心理師が行うようになるでしょう。
同じキャリアを持っている人で、公認心理師資格を持っている人と無資格者であれば社会的信用は有資格者に軍配が上がります。

特に医療/福祉分野では、診療報酬やサービス報酬など公認心理師を配置することによって、事業所に収入が入る仕組みができているので公認心理師が心理職にとってもっともメジャーな資格になっていくことは確定路線です。
②公認心理師を取得することで経済的恩恵はあるのか
結論から言うと、公認心理師フルタイムで働く場合は経済的なメリットは大きくないです。
僕は以前、公認心理師の平均年収を調べたことがあるのですが、結果的には200〜400万に集中していました。(臨床心理士の給与や、公認心理師の給与をもとに算出)
これは日本の世帯年収の中央値が430万程度ということを考えると、決して高くはない水準です。
ただし、「心理職として、心理の仕事がしたいから公認心理師の資格を取るんだ」という方の場合は、全く異なる業務を行う職業との給与比較をするのはナンセンスです。
金銭的な尺度を持つことは大切ですが、そもそも自分はお金のためにこの職業を選んだのかを問いかけることも必要だと思います。
③公認心理師を取得するための労力
公認心理師を取得するための労力を考えるときに、参考になるのが「受験資格取得ルート」です。
以下の図が、日本心理研修センターが作成した図です。

難解な書き方をしてわかりにくいのですが、公認心理師には①大学院までいく必要があるルート ②大学卒業後に実務経験を積む必要があるルート ③実務経験を積んだ後に研修を受けるルート などがあります。
どれが簡単ということは一概には言えないのですが、ほぼ実務経験だけで受験できる人と、大学院を修了した人とではかけた時間や金額が大きく異なると思います。
ここでつぎ込んだ時間とリターンが見合わないと感じる人が、「公認心理師は意味のない資格」と結論を出してしまうのではないかと思います。
結論:公認心理師を取る意味は、、、
ここまで、①公認心理師を取得することでどのような仕事ができるのか ②公認心理師を取得することで経済的恩恵はあるのか ③公認心理師を取得するための労力 という3つの視点から公認心理師資格を取得する意味について考えていきました。
結果、以下の通りになりました。
結果 | |
仕事内容 | 業務独占資格ではないが、認知度の向上につれて5分野において
公認心理師は安定的に業務可能。 |
経済的恩恵 | 平均世帯年収と比べて高いとは言えない。 |
資格取得の労力 | ルートによってかかる金額や時間が大きく異なる。
大学院に行かないと受験資格が得られないルートもある。 |
この結果を踏まえて、どのような結論を出すのかは人によって異なると思いますが、心理職に就きたい人にとっては資格取得のメリットは大きいと僕は思います。
僕自身、給与が決して高いとは言えない社会福祉士ですが、資格を取得したからこそ自分がしたい仕事ができているので「この資格をとってよかった」と思っています。
心のあり方次第ではありますが、これから資格を取得する人にとっても、すでに取得した人にとっても希望ある職業だと僕は思います。